記憶力の基本

記憶力と五感

記憶力と五感は深い関わりがあります。五感とは、視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚をさし、人間が外部からの刺激に対して感知する能力のことをいいます。視覚とは目を使って見ることをいいますが、人の顔や風景、物などを映像として記憶することができます。

聴覚は耳で聞くことで、人の声や音楽、車、雨の音などを認識します。声を聞けば、顔を見ずとも誰の声か判断できます。また、昔よく聴いた音楽を偶然耳にした際、当時のことが映像となって鮮明に思い出されることがあります。

触覚は触れることによって記憶されるというものです。家具職人や伝統工芸作家といった、ものを造る人にとっては触れて覚える感覚はとても大切になります。味覚は舌に味が記憶されるというものです。ワインソムリエは、その味覚によって膨大な銘柄を記憶しなくてはならないため、特に重要な感覚になります。一般の人でも、子供の頃に食べたお菓子やお袋の味が味覚として記憶されています。

懐かしい味が好まれるのは、特別美味しいからという理由ではなく、それを食べていた頃が思い出されるからかもしれません。嗅覚はその匂いを記憶するものです。香水から、それをよく使っていた人が連想されることがあります。

五感を使った記憶は、長く保持されやすいという特徴があります。言葉や文字はいちど聞いただけではすぐに忘れてしまいますが、五感から入った情報は印象に残り、連動して視覚や聴覚などとともに記憶されることがあります。長い間記憶を失っていた人が、よく嗅いでいた匂いから一気に記憶が戻った例は少なくないといわれています。